2007年10月31日

サッド ヴァケイション

青山真治監督の最新作です。
舞台になるのは、青山監督の故郷、北九州。

北九州を舞台にした映画で忘れられないのが、佐々部清監督の「チルソクの夏」です。
佐々部監督も、故郷を舞台にして作られてました。
その時も、北九州の方々が、うらやましかったのですが、今回の「サッドヴァケイション」も、すばらしい映画で・・・
ホント、北九州の方々が、うらやましいです!

映画の中では、北九州の方言が飛び交っていて、意味が分からない所もありました。
それを、わかりやすい言葉に置き換えてない所に、青山監督の、こだわりや思い入れを
感じます。

意味が、わかんないけど、気持ちはなんとなくわかるっていうか・・・
心で、ド〜ンと受け取る言葉の力を感じました。

映画に出てくる登場人物は、みんなワケありの人間ばかりで、
そんな人たちが働いている間宮運送は、吹き溜まりのような感じ・・・
彼らは、共に暮らしているけど、相手に深入りせず、ある一定の距離を保っています。
それが、そこで暮らすルール。
でも、お互い支え合ってる。
武骨だけど、温かい。
監督が描きたかった北九州は、そうじゃなかったのかな?と・・・
武骨で、荒々しいけど、温かい街なんだろうな・・・

主人公の健次を、浅野忠信さんが演じてます。
元々、浅野さんの声は、聞き取りにくいのですが、今回は方言も加わって、
もっと聞き取りにくかったです。
だから、映画館より、DVDで見た方が、見やすいかな〜と思いました。
他にも豪華なキャストで、オダギリジョーさんや宮崎あおいさんがワケありの住人を演じてます。

この映画で、1番存在感を感じたのは、石田えりさんでした。
幼かった健次を捨てて出て行った母親の役です。
普通、捨てた負い目があるから、弱腰になるのが普通だけど、誰に対しても強気。
堂々としてて、後ろに引いたりしない。
でも相手を大きく包んでしまう母性に溢れている。
あぁ〜これじゃあ誰も、太刀打ち出来ないなぁ〜と思う。
ワタシも、とてもじゃないけど無理。あそこまで強気になれない。
浅野さんの母親という設定は、アンバランスでしたが、ワタシは綺麗な人の方がいいので、
おかしくても、コレでいいです(笑)
今の夫でもあり、仏さまのように優しい間宮社長も
捨てられた仕返しをしようと思っていた主人公でさえも
彼女の回りを、回っているような感じがしました。

北九州と山口を結ぶ若戸大橋の全景が写し出されるのですが、外国映画のようなシーンになってます。
ジョニー・サンダースが歌うテーマ曲も、とてもステキ!

その赤い橋のたもとに、吹き溜まりの間宮運送があり、そこに、いろんな人たちが流れ着き、
支え合って生きている・・・

生身の人間を感じられる映画であり、秀作だと思います。


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