2007年04月02日
ダーウィンの悪魔

楽しい映画ではなく、辛い映画でした。
でもストーリー性はなく、淡々と映像が流れてゆくので、どう受けとめるかは、見た方に委ねられると思います。
見た後、自分に何が出来るだろうと考えたら・・・思い付きませんでした。
でも、多くの人が「事実を知る事」が大事なんだと思います。
アフリカのヴィクトリア湖は、世界第2位の
大きさの淡水湖です。
ピンとこないですが、九州より広いくらい。
生物多様性の宝庫であることから「ダーウィンの箱庭」と呼ばれていたそうです。
しかし、その美しい湖は、ナイルパーチによって生態系が崩れ、元々いた魚たちはいなくなり、
環境は悪化、「ダーウィンの悪夢」が始まりました。
このナイルパーチとは、くせの無い白身魚で、実は美味しいのです。
全長2メートルまで成長してくれるので、切り身として加工され、ヨーロッパや日本にも輸出されてます。
3年前までは「白スズキ」という名で、日本のスーパーでも売られていたそうです。
今は、ファミレスや給食で出てくる白身魚フライは、ナイルパーチです。
もちろん、今まで知らなくて食べてました。
白身魚だけど、パサパサしてて何だろう?と思った事はあるけど、タルタルソースに合うから、
食べてました。
アフリカは遠いけど、自分たちが食べてる魚だと知ったら、他人事ではなくなりました。
魚の加工場が栄えて、僅かな人たちは豊かになり、仕事にあぶれた人たちは貧しくなります。
生活のために、女性は売春婦になり、エイズが広がり、親が死んでしまった子供はストリートチルドレンになります。
魚を、EUに空輸する為に飛んでくる飛行機は、アフリカに武器を運んで、帰りに魚を積んで帰るという噂もあります。
ある村に住む神父へのインタビューですが・・・
彼の布教地域では、1カ月に、15人程、エイズで死んでいくそうです。
2日に1人です。驚きました。親が死んだ子供は悲惨でした。
ナイルパーチの切り身は、全部輸出され、アフリカの人たちは頭と骨を油で炒めたものを食べているそうです。
地球は2つあるようです。
低脂肪でヘルシーな白身魚を食べる場所と、それに奉仕する場所。
ワタシは「食べる場所」にいる一人です。だから、キレイ事しか言えません。
「知らなかった」というのが、1番罪のない答え、楽な事でしたが・・・
これからは、忘れないで、辛い真実を思い出していきたいです。
2007年03月07日
リトル・ミス・サンシャイン

でも、なぜだか泣いてしまう、
不思議な映画です。
笑い泣きなのか・・・
泣き笑いなのか・・・
自分でも、よくわからなかったです。
結論から言っちゃうと、オススメいたします!
おかしくて、泣けて、でもなんだか心がじんわりしちゃう映画なんて、めったにありませんから・・・
この映画、アカデミーの脚本賞を取りましたね。ナットクです!
そして、グランパ役のアラン・アーキンは、助演男優賞も取りました。
この作品、アメリカでは、いわゆる単館系の映画で、口コミによって大ヒットし、超大作を蹴ちらして、アカデミー賞に踊り出て、はては賞まで取っちゃったスゴ〜イ作品なんです。
「リトル・ミス・サンシャイン」とは、美少女コンテストの名前であり、優勝者は、そう呼ばれます。
このコンテストの決勝に出場する為、アリゾナ州からカリフォルニアを目指すフーヴァー家の6人と黄色のバスのロードムービーです。
(この映画では、バスも重要な登場人物?になってます)
まともなのは、ママだけかもしれません。
あとの面々は個性的というか、どこか壊れてます。
ミスコン優勝を夢見る9歳のオリーヴだって、ポッコリと出たお腹と、近眼メガネ、足は太いし、
「チョット、ムリだろ〜」と誰もが思うハズ。
でも、とりわけグランパにとっては、誰よりも1番の存在なんです。
オリーヴをホント愛してるのがわかる。
それは、パパ、ママ、お兄ちゃん、ゲイの叔父さんにとっても同じ。
家族にとっては、オリーヴこそが「リトル・ミス・サンシャイン」なんだと思いました。
みんな「オリーヴの為に・・・」という思いだけで、バラバラで噛み合わない家族が、一つのバスに乗って旅を続けます。
このバスまで、くせ者で、途中でクラッチは効かなくなるわ、クラクションは鳴りやまなくなるわ、
最後はドアまで外れちゃいます。
まさに、コイツも壊れてるんです。でも、憎めない(笑)
この愛すべき落ちこぼれ一家にピッタリでした。
そして、旅も終盤にさしかかり、大事件が・・・
「このまま、人生の負け組で終わってなるものか!」と、パパが一発奮起。
なんとか、ミスコン会場に着き、オリーヴは出場を果たします。
この落ちこぼれのバラバラ家族が、ミスコン会場で見せたパフォーマンスは「まさに愛の劇場」
バラバラだって、やっぱり家族。
「開き直りは、まさに最大の武器」
な〜んて、思ってしまったワタシです。
負け組一家を描いたこの映画。
映画の中では、負け組のままだけど、映画は、しっかり勝ち組へと踊り出てます。
2007年03月04日
百年恋歌

台湾のホウ・シャオシエン監督の最新作です。
原題は「最好的時光」、
英題は「Three Times」、
邦題は「百年恋歌」
この3つのタイトルは、どれも合ってます。
3つのキーワードと思って頂けたらよいと思います。
邦題は、特にステキですし、見終わった後には、多分ナットクされると思います。
映画は、3つの時代の男女の恋のお話です。
異なった時代ですが、演じているのは、同じ俳優なんです。
男は、チャン・チェン、女は、ス ー・チー。
2人共、素晴らしかったですね。そして2人共、1976年生まれの、同い年でした。
特に、女優のスー・チーは、全く異なる女性を演じていて、その演技力に驚かれると思います。
この映画は「スー・チーという女優の映画」と言ってもおかしくない程でした。
3つのお話には、それぞれ名前がついてます。
「恋愛の夢」1966年のお話。
スー・チーは、恋にときめく少女の役。
チャン・チェンが会いに来た時のうれしそうな顔が印象的でした。
ワタシは、このお話のラストが1番好きです。
「自由の夢」1911年のお話。
その当時は高級遊郭が、富裕な高官たちの社交場のようでした。
スー・チーは、その世界しか知らない心優しい芸妓の役。
若き文人のチャン・チェンが会いに来るのを、いつも待ってます。
久しぶりに再会した2人の切なさが、あふれてました。
セリフは全て文字で・・・昔のトーキー映画のような感じです。
2人の身のこなし、目線、全て優雅で見とれてしまいました。
監督の「フラワーズ・オブ・シャンハイ」という映画も同じように、高級遊郭が舞台の映画でした。
ホントに美しい映画です。それには、トニー・レオンと、なんと、日本女優の羽田美智子さんが
出てます。
「青春の夢」2005年のお話。
冒頭シーンは、高速を走るオートバイに乗る2人。
どのようにして出会ったかは、描かれてなかったのですが、ゆきずりのような感じでした。
別れた後、たまたまネットで彼女の事を知り、再会します。
スー・チーは、ここでは、気持ちが定まらず、大都会の中でさ迷っているような女性でした。
映画は素晴らしかったですね。
3つの時代の、それぞれの空気感に包まれた映画でした。
ワタシは、観客として座っているだけなのですが、見終った後、タイムトラベルしたような・・・
その3つの時代を旅をした後のような感覚でした。
映画館の暗闇はホント、マジックですね。
家でDVDで見ても、ここまでこんな感覚には包まれなかったと思います。
しあわせな体験でした。
ワタシは、この映画もそうなんですが、撮影されたリー・ピンビンさんが大好きなんです。
ホウ監督の多くの作品に関わってますが、トニー・レオンが出てた「花様年華」もそうです。
監督は有名なウォン・カーウェイでした。
ランプの光、ネオンの光、写された明かりが全て美しいんです
ホウ・シャオシエン監督の「非情城市」は、三大映画祭で最高賞を受賞した作品です。
まだ見られてない方には、オススメいたします。
2007年02月28日
ストロベリーショートケイクス

原作は魚喃キリコさんの同名コミックです。
それを恋愛小説家の狗飼恭子さんが脚本として仕上げ、矢崎仁司さんが監督した作品。
矢崎監督の代表作は「三月のライオン」という作品。
数多くの海外映画祭に招待されて、高い評価を受けられたそうです。
ワタシは16年前の作品なので、見てませんが、映画人の間では、よく知られているみたいです。
今回、パンフを買ったら、その中に映画についての矢崎監督のコメントが載ってて、とても感銘を受けました。
こんな考えを持ってくれてる監督さんだったら、一生ファンでいたい、と思ったほどです。
少しですが、みなさんにも読んでほしいので、抜粋して、ここに載せますね。
〈映画は理解するものではなく、感じるものだと思ってます。映画館は自分のことを考える時間。あわただしく流される日々。「立ち止まっていいんだよ」って包み込む暗闇が映画館です。僕は観てくれた人に何かを思い出して欲しい。何か心に仕舞い込んでた大切な感情、忘れてた感情の記憶にフーっと息を吹きかけるように、僕たちが映した空気が触れることが出来たらいいと思います〉
映画を観た後、このコメントを読んで、深くナットクしました。
ワタシも、仕舞い込んでた感情の引き出しを開けてもらってましたから・・・
この映画は都会で働いてる4人の女の子のお話。
ワタシは4人友達の話かと思ってたら・・・2人が幼なじみのルームメイトで、あとの2人は同じ職場の同僚。
チラシでは、4人一緒に写ってるけど、2ペアのご対面は映画の中ではありません。
でもラストで奇妙な接点を持つ事になります。あのまま映画が続いてたら、4人友達になってたかもしれませんが・・・
映画はヨカッタですね。
それを、おもしろかったと言えばいいのか?
ヒヤヒヤしたと言えばいいのか?
ドキッとしたと言えばいいのか?
正直に言うと、気持ち穏やかに見てられませんでした(笑)
胸が、ざわざわしたり、痛いと感じた場面もありました。
そしてリアルでした。一応、R15指定となっております。
20代、30代の女の子だったら、誰でもドキッとする場面の一つはあると思います。
一応、主人公は池脇千鶴演じる里子なんですけど、4人4様の気持ちや生活感も、しっかり描かれてるから、誰が主人公でもいい感じ。
観客が、4人の誰に感情移入して観るかで、印象が変わる映画だと思います。
4人それぞれのキャラクターの違いを感じさせたのは、住んでる部屋のインテリアが大きいけど、ワタシ的には「神様」でした。
映画の中で「神様っていると思う?」というセリフが何度か出てきます。
この「神様」は宗教的な存在ではなく、自分を守ってくれるもの、自分を幸せに導いてくれるものといった自分だけに都合のいいお助けマンの事。
実は、ワタシも自分だけの神様がいてくれてると思っているオバカな一人なので、スゴ〜ク気持ちがわかります(笑)
里子は道で拾った不思議な形をした石コロを、神様にして、家に飾り、お願いごとを始めます。
コレが自分に1番近いかも(笑)
今はやってないけど、切羽詰まったら、多分、小さなお座布団の上に乗せちゃったりするだろうな
結婚願望の強いOL、ちひろは、「彼氏が神様」と・・・
一人の男を想い続けながら、デリヘリ嬢として身体を売る秋代は「神様なんていない」と・・・
イラストレーターの塔子は「あなただけの神様を描いてくれ」と依頼されて、
自分の神様をさがしてる。
4人の感情を、細かにすくい取りながら、映画が流れ、それに自分の感情がシンクロしていく感じでした。
きっと4人の女の子たちが、いとおしくなると思います。
「スペシャルな人のスペシャルな存在になりたいです!」と、拾った石にお願いをする里子。
多くの女の子は、こんな風に、いつも思ったり、時々思ったり、心に仕舞い込んでたり・・・あがいていると思います。
男性の方々は、この映画を見て、女の子って、いろいろ大変なんだなぁ〜と思っていただけたら、うれしいです(笑)
青空が広がる海辺で終わる突然のラスト。
エンディング曲は、スゴクゴキゲン!
映画の余韻にピッタリでした。
2007年02月18日
魂萌え!

今年から団塊の世代が、次々と定年を迎えられるそうで・・・
と言うことは、中高年が主人公の映画は、今後は増えていくでしょう。
この映画のヒロインも59歳のかわいいおばちゃまでした。
ストーリーは夫の定年退職のお祝いの日から始まります。
定年から3年たったある日、夫(寺尾聡)は心臓麻痺で急死。
専業主婦だった主人公、敏子(風吹ジュン)の人生は一変します。
葬儀の日、夫の携帯電話に見知らぬ女性からの電話。
それによって夫の10年にも渡る浮気が発覚。
8年ぶりに顔を合わせた息子は財産目当ての同居をせまり、娘は恋人と同棲中。
世間の荒波も知らずに生きてきた敏子は、同級生の女友達たちに、励まされながらも、どうしていいかわからず、とりあえずプチ家出。
愛人だった女性との対決もあり、成り行きの情事もあり、少女のようなルンルンドキドキもあり、
テンコ盛りの内容でした。
この映画、予告編で見て「おもしろそうだな〜」と思ったんですけど、阪本順治監督だったんで
「どうかな〜」と引いてしまったんです。
阪本監督はベテランですけど、作風が堅いので、ワタシ的には苦手でした。
それが、どうして、どうなったか、この映画、おもしろかった!
きっちり作られていて、きっちり最後までおもしろい!
ここまで言いきるのは、ワタシが女性だから・・・と思います。
女性にとっちゃあ〜痛快な映画ですヨ。
「女性って、やっぱたくましい!」ますます元気になれる映画です。
そもそも、この映画には情けない男しか出てきません。
「ホント、アッパレ!」というくらい(笑)
だから若い男性にとっては「自分の母親とは無縁であってほしい」と心の中で秘かに
お祈りをあげるかもしれません。
介護保険料を払うようになった男性の方々には、素直に楽しめる方と
「わかっちゃいるけど、う〜ん・・・」と頭をかかえる方と、いろいろだと思います。
まあ、中高年の夫婦が間違っても、一緒に見ちゃあいけない映画でしょう(笑)
お互いコッソリ見に行って下さい。
男性は多分1人で、女性は1人でも、女友達と一緒でも楽しめると思います。
今回、阪本監督、脚本まで書かれてて、オドロキました。
それは女性が見てもドキッとするような描写があったからです。
愛人だった女性との対決シーンは2回ありますが、
1回目は、敏子の口紅対愛人の足の真っ赤なマニキュア。
2回目にいたっては、ワタシ、「ヒェ〜恐いわぁ〜」とブルルンする位、
女性の性(サガ)を見せてもらいました。
主人公、敏子を演じられた風吹ジュンさんは、とてもかわいかったです。
風吹さんだったから、この映画が成功したんじゃあないかな〜
入浴シーンもあって背中が、キレイなんですヨ。
女性のワタシから見てもチョット、ホレボレしました。
ラスト、主人公が夢を叶えたシーンは、うれしかったですね。
主人公の心の軌跡に寄り添える映画だったと思います。
映画が始まる前に「シネカノン」の文字を見て、チョット、ワクワクしましたが、エンドロールで製作にも参加されてるのを知りました。
シネカノンは韓国映画の「シュリ」を日本で配給して、それからの韓国映画ブームを作られた会社です。
昨年の「フラガール」もシネカノンの製作です。
シネカノンが関わった映画は秀作が多いので、これから映画を見られる時の参考にされてみて
下さい。
2007年02月07日
鉄コン筋クリート

チラシに載っているクロとシロは、かわいくない。でも、ストーリーは面白そうだったんで見る事に・・・
そしたら、スクリーンの中で自由に動き、しゃべるクロとシロは魅力的で、どんどん可愛く見えてきたんです。
声優さんに声を与えられ、スクリーンの中で暴れ回るクロとシロは、生き生きしてる。
特に、路上を走りまわるシーンは、ワクワクしました。
そして見終って、平面上に描かれたクロとシロの絵を見ても、かわいいと思う(笑)
能面のような顔だけど、見つめていると、ニヤッと笑ったように見えてきちゃうから不思議。
鉄コンワールドに、ワタシもハマッたみたいです。
原作は、松本大洋の同名コミックです。
義理と人情とヤクザの街〈宝町〉が舞台。
そこを自由に飛び回る〈ネコ〉と呼ばれる少年2人、クロとシロ。
二人には親は居なく、かつあげや、かっぱらいなどで、日々の糧を得て、助け合って暮らしてる。
年上のクロは「シロは自分が守る」と誓い、力で守るんだけど、実は心の部分はシロに守られてるんです。
名前が表すとおりに、クロとシロは相対する存在で、二人で一つだと思いました。
お互い、自分の足らない部分を、もう一人が持っているんです。
人間には、陰と陽、2つの部分が同居してると思うんです。
この映画は、その2つの部分を切り離して、クロとシロという個体にしてると思いました。
この映画は、見られた方、それぞれが惹かれる部分が違うと思います。
ワタシ的には、〈宝町〉という街が主役でした。
街全体が、生きてるっていうか、1つのキャラクターになってるんです。
その中で、クロとシロは生かされている。
宝町は、クロとシロにとっては、母親みたいな存在というか、街が、2人を育ててくれてると感じたんです。
2人は、暴力でかたをつける、いわゆる「第一級ぐ犯少年」です。
世間では、はみ出し者で、受け入れてもらえない存在。
でも、宝町では生きてゆける。育ってゆけるんです。
でも、その宝町に、開発の手が延びてきて、目障りな2人を殺そうとする。
この宝町の変貌していく様子が、今の時代の変貌と重なって見えてしまいました。
はみ出し者でも、生きてゆける場所は必要だと思うのです。
監督は、アメリカ人のマイケル・アリアス。
本作で監督デビューを飾ったビジュアル・クリエイターです。
鉄コンとの出会いは、今から10年程前だそうです。
彼は鉄コンの熱烈なファンで、愛してるんだなぁ〜と、作品を見て感じました。
アニメーション製作は「スタジオ4℃」です。
色あいが好きです。中間色を多く使っていたので、温かみを感じました。
宝町は、上海とかの下町っぽかったり、日本の下町っぽかったり、いろんな懐かしい情景が詰まったような町並みでした。
ビルの形や、看板とか全てに惹かれました。
2人の家(車)はスバルのてんとう虫じゃないかな?
走ってるのは、見た事ないけど、店頭に置物にしているのを見た事あります。
小さくて、カワイイんです。
そして、声優陣は全て俳優さんでした。
プロを使わなくて、コケる場合がありますけど、今回のそれは大成功だったと思います。
やはり、クロ役の二宮和也君が1番よかったです。キャラクターにピッタリでした。
シロ役は、蒼井優がやってて、始めシロは女の子と勘違いしてしまった所はあるけど、上手かったです。
彼女って、限界が見えない女優さんですね。
その他にも、伊勢谷さん、クドカン、本木さん、田中さん・・・それぞれのキャラクターにタブッちゃう程のキャストでした。
この作品は、ハードボイルド。そして、大人が味わうアニメです。
幼い頃、自分が育った街に憧憬を持っている方なら、きっと何かを感じる映画のような気がする。
そして、この映画を見た後、あなたの心の中にはクロとシロが住みついてるかも。
2007年02月05日
パプリカ

1993年の断筆宣言の直前に刊行された最後の筒井作品だそうです。
「パプリカ」とは、夢探偵の少女の名前。
現実世界の彼女は、精神医療研究所で働く大人のセラピスト。
でも、夢に悩まされているクライアントから極秘に依頼されて、彼らの夢の中に姿を現す時には、容貌も性格も一変して、キュートな少女、パプリカとして現れるんです。
そして、彼らの迷える心を解決へと導く。
そこに「夢のテロリスト」が現れて、夢の中にしか存在しなかったイメージが、現実の世界に実体化して現れるように・・・
夢の世界と現実の世界が繋がってしまい、大変な事になってしまうワケです。
そこでパプリカの出動!
パプリカは、この世を救えるか?ってワケで、ストーリーは進みます。
面白かったですね。
とにかくスピード感があります。音楽も映像に合ってました。
もう視覚がパァ〜と全開状態になる感じです。
目まぐるしくストーリーが進んでいくので「エッなぜ?」なんて疑問符を持っちゃあいけません。
理屈で見る映画ではなくて、視覚とかの感覚で見る映画でした。
チラシとかには「ケレン味たっぷりのパプリカ」と記されてますが、まさに、その通りでしたね。
(ケレンとは、歌舞伎の演出用語で、意表をついたり、驚かせるような奇抜な演出の事を言います)
ワタシ的には、大いに楽しみました。
日本のアニメーションは、やっぱ世界一ですよ!
色彩の洪水、スピード感のある映像、ホント刺激的でした。
退化しそうな身体の細胞の一つ一つを、元気にしてもらった感じかな(笑)
監督と脚本は、今敏。
2002年に「千年女優」というアニメーション映画を監督。
それが、原作者、筒井康隆の目にとまり、「パプリカ」の監督として、じきじきの指名をうけました。
「パプリカ」は、奇想天外なイメージがあふれる他人の夢の中を飛び回るお話。
だから映像化は、むずかしいと言われていた作品なんです。
「パプリカ」の誕生は、今後アニメーションの歴史に残ると思います。
ワタシ的には、ホメてもホメても、足らないくらい(笑)
このアニメーションを製作したのは「マッドハウス」
ワタシ、大ファンです。とにかく映像がキレイだし、完璧です。
昨年、話題の「時をかける少女」もマッドハウスの作品です。
キャラクターデザインは安藤雅司。スタジオ、ジブリ出身で、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」の作画監督です。
そして編集は、「天空の城ラピュタ」以降のジブリの全作品を手掛けた瀬山武司。
もうオタクの話になってスミマセン。
あとユーモアもあって、パプリカが夢の中で、孫悟空やティンカーベル、 ピノキオなど七変化したり、「ターザン」「ローマの休日」などの映画のワンシーンが使われたりもしてます。
それを見つけるのも楽しかったです。
声優もプロの方ばかりで、安心して見れました。
パプリカは林原めぐみさんだし、ガンダムのアムロ役の古谷徹さん、山寺宏一さんも出てますし・・・
いろんな分野での精鋭のクリエイターたちが集結して作られたスゴイ大人の為のアニメです!
この映画に注目されていた方々は、おススメされなくても見に行かれると思いますので・・・
だから、そうでない方々へのオススメポイントを。
「色彩のシャワーを浴び、ケレン色を味わい、身体の細胞が活性化し、2才は若返るかもしれません」という事で、どうでしょう?
2007年01月21日
麦の穂をゆらす風

詩人ロバート・ドワイヤー・ジョイスの詩にアイルランド独立を掲げるアイルランド党の青年が曲をつけたもの。
メロディーラインは牧歌的で静か。でも、訳詞を読むと全く違っていた。
恋人への想いと独立への強い意志と、恋人を奪われた悲しみと、それらが胸がしめつけられるような感じで迫ってくる。
読めば読むほど心が痛くなる感じでした。
この歌に込められた思いが、そのまま、この映画に吹き込まれているような気がします。
この映画は2006年度のカンヌ最高賞であるパルムドールを受賞。
それも不利と言われるオープニングに上映されたにもかかわらず、審査員の全員一致で選ばれてます。
監督はケン・ローチ、70歳。
代表作は「ケス」「大地と自由」など。
社会問題を背景において、その中での主人公の人間ドラマを描く事が多いそうです。
イギリスのBBCテレビに入社し、多くの傑作ドラマやドキュメンタリーを演出し、その経験が映画監督へとつながったそうです。
ワタシが1番驚いたのは、監督はアイルランド人ではなく、英国人であった事です。
英国人が、やってきた不当な事実を受け入れる事が、英国の明日につながると考えたのでは、と思います。
映画は力強く、ズッシリ重みのあるものでした。
骨太で、ごまかしてない。いい作品です。
内容は、辛かったのですが、アイルランドの風景が美しく収められていて、少し救われました。
主人公、デミアンを演じたのが、キリアン・マーフィー。
もう彼の演技から目が離せなくて、最後まで見入ってしまいました。
とにかく、すばらしかった!
ずっとワタシは、キリアンに引っ張られてました。
キリアンは、この映画の舞台であるアイルランド、コーク出身です。
実際に、彼の祖父も音楽を演奏中に銃撃されてます。
キリアンは、ケン・ローチ信奉者で、今回の役がどうしても欲しくて、6回も面接を受けたそうです。
「パルムドールは、彼の演技あってこそ」と監督に言わしめたキリアン。
ワタシはキリアンが、アイルランド出身という事は知ってたけど、まさかコーク出身とまでは知らなくて・・・彼の全身から放つものは、そういうものからだったのかもしれません。
映画は、独立戦争から内戦にいたる1920年代のアイルランドが舞台です。
この頃を描いた映画は「マイケル・コリンズ」とかありますが、この映画は、歴史上には残っていない名もなき人々の話でした。
歴史上の人物を扱ってないからこそ、ドラマ性を持たせる事が出来たと思います。
だから、映画として見たらおもしろい!
歴史上の構築も、しっかりしているので、そのドラマにも説得力があります。
兄と弟が、アイルランドの独立条約の内容によって、対立してゆく様子が、この映画の柱になってると思います。
今まで共に戦っていた同志が、そして兄弟までもが、今度は殺し合うんです。
その歴史上の事実は、今まで知りませんでした。
それを知る事が出来るだけでも、大きな価値のある映画です。
戦いの中で、若者たちが高揚してゆく一方で、組織に縛られ、個人を殺して前に進むしかない様子は、いつの時代にも通じるものを感じます。
ケン・ローチの目線は、すばらしい!
2007年01月15日
大奥

いつものごとくですが、ワタシは一度も見てません。
それではなぜ張り切って見に行ったか?
「西島秀俊」さんの大ファンだったからですヨ。
1番は彼の声が好き。
「トニー滝谷」という映画では、西島さんが全編ナレーションをやってて・・・眠たくなるような映画でしたが、彼の声をずっと聞きたいから、寝れませ〜ん!って感じでした(笑)
今回のストーリーはドラマの内容とはリンクしてないみたいで、ワタシのように何も知らなくても楽しめるようです。
「絵島生島事件」って本当にあったんですね。
大奥総取締である絵島(仲間由紀恵)と歌舞伎役者の生島(西島秀俊)との悲恋話。
こうゆうストーリー展開に弱かったので、ワタシもまんまと酔わせてもらいました。
ドラマの女同士のドロドロ感も踏まえつつ、幼い将軍の後見人を狙う男同士の陰謀、そして清らかなラブストーリーで楽しかったです。
映画を味わうというより、楽しむタイプの映画。
悪く言うと、「楽しんで、それで終わり」かなぁ〜
ワタシ的には、そんな娯楽映画も好きなんで、OKでした。
後に残った事といえば、仲間さん、西島さん、杉田さんの演技がヨカッタ事と衣装がキレイだった事かな。
杉田かおるさんの演技が怖い位に良くってですね〜女のサガがよく出てました。人生の荒波も芸の肥やしにしてますね。
多分、今回の演技で次のオファーが来てんじゃあないかな〜
西島さんはもうステキでした。
まなざしの演技も言う事ないです。
カツラも似合ってて、またまた好きになりそう・・・見苦しくなるので、ここでやめときます〜(笑)
仲間さんは、やっぱ上手いですね。
生島に恋をしてからは、顔の表情が変わるんですよ。微妙な心の動きを演じ分けてる。
立ち姿もキレイだし、美人だし、言うことなかったです。
まあ美男美女で、美術も美しい。ミーハーのワタシにとっちゃあ大いに楽しんだ映画です。
甘口ですが、ストーリーもまとまってるから、悪くはないと思います。
2007年01月12日
記憶の棘

その心の傷がようやく癒された主人公アナは、ある日突然現れた10歳の少年から「僕はシェーン。君の夫だ」と告げられる。
「生まれかわり」って信じます?
ワタシは信じたい派です。チベット仏教の考えを読んだりしたら、ホントにあると思えてきます。
韓国映画の「バンジージャンプする」も生まれかわりの話だったなあ~
それは昔の彼女が、教え子の男の子になってて、同性愛者と間違えられて、おかしな事になっちゃったんだけど・・・
(この映画の好みは分かれるけど、ワタシは好きです)
見終った感想はですねぇ〜
「美しくて、演技もすばらしいニコールの為の映画」
もうコレに尽きます。
写真のごとくベリーショートにして顔をさらけ出しても美しいニコール・キッドマン。
大きなスクリーンでニコールの顔をドアップで見る。それもロングショットの長回し。
コンサートの演奏を聞くシーンでは台詞もないんです。観客はただニコールを眺めるのみでした。
映像の中の彼女は芸術でしたね。
後になって知ったのは監督はミュージックビデオで知られる映像クリエイターのジョナサン・グレイザー。
そして撮影監督は「エレファント」「ラストディズ」のハリス・サヴィデス。
ナットクですね。2作共、長回しでしたから・・・
「エレファント」で校内を歩くシーン、背後から撮る長回しは、この映画の冒頭シーン、ジョギングするシェーンを背後から撮る長回しに繋がってました。
少年は本当に夫の生まれかわりなのか?
主人公アナは、少年の出現によって、最初は怒り、拒絶し、揺さぶられ、そして受け入れ、喜ぶ、そして再び絶望する。
ストーリー上での感情の流れを簡単に並べただけなんですが、ニコールの表情や仕草で、それが読み取れる!
やっぱニコールは、大女優だわ!と思い知らされた映画でした。
そして、もう一人の重要な役柄は10歳の少年、シェーン。
「愛してる」とアナを見つめる眼差しに心が揺れちゃいました。
実はですね・・・この映画と「サンキュー・スモーキング」を同じ日に見たんです。
そしたら、どちらにもキャメロン・ブライト君が出てる・・・その上、全く違うタイプの少年役。
彼の演技にも驚いたし、「やっぱ売れるにはワケがある!」とナットクしたワタシ。
「どうか顔が長くなりませんように・・・このまま大人になれますように・・・」と願ったブライトデーでした。
映画を見てる私達も、少年は夫のシェーンなのか?主人公のアナと同じように迷ってしまい、ミステリーの部分も楽しめます。
2007年01月11日
サンキュー・スモーキング

監督はジェイソン・ライトマン、これが長編映画のデビュー作です。
タバコ業界の広報担当であるニックは、話術においては敵なしのつわもの、全ての人を煙に巻いちゃう程だ。
タバコのニコチンによって一日、1200人を殺している業界の顔として、彼の行く所は敵だらけ。
そしてスクープを狙う女性記者の色じかけのワナにはまり一気にドン底へ。
落ちぶれるんだけど、愛する息子の一言で一発奮起。
禁煙に燃える上院議員との論争戦へと乗り込む。
ホントおもしろかった!
いわゆる知的論争なんですけど、エンターテイメント。
字幕でも、おもしろいと思ったのに、もし英語がわかったら、もっとおもしろいだろうなぁ〜と思う。
出てくる面々は、みんな「タバコは体によくない」と分かってる上で、それを正当化しようと、マジメに頑張ってるんですヨ。
その奮闘ぶりがコミカルで、思わず「ガンバレ!」と言いたくなっちゃいました。
ニックの論争の核心は
「タバコはよくない。それを社会的に排除するのではなく、決めるのは自分。個人的に排除すればいい!」という事ではないかと・・・・
まあ、こういう言い回しで、相手を封じ込めるんですけど・・・
ワタシ的には、その発想には、くすぐられてしまいした。
ニックの話術にハマった?
「これは健康にはよくない」と知った上で、それを選ぶのだったら・・・それは個人の責任だと思うワケですよ。
ワタシはタバコは嫌いなんで、喫煙家の傍には行かないという方法を選んでます(避けるのみ)
主人公のニック役は、アーロン・エッカートが演じてます。
ワタシは2年前の「サスペクト・ゼロ」という映画で彼を知りました。(この映画は面白いです)
今回の主人公は多様性のあるキャラクターですけど、彼は見事に演じ切ってたと思います。
見た目はソフトなお調子者に見えるけど、実は頭がキレて、人の心の弱い所を見極める。でも人間臭い所もあって、なさけない所もある。
なんか憎めなくて、魅力を感じてしまう・・・そんな主人公でした。
彼の息子役はキャメロン・ブライト。
ワタシ、彼を何回見ただろう・・・売れっ子ですよね。
このストーリーは父と息子の繋がりも、大きな軸になってます。
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」で奥さん役をやったマリア・ペロも出てるし、あとケイティ・ホームズも・・・
トムクルーズのピントがズレちゃったと言えばわかります?
でも3年前の「エイプリルの七面鳥」もケイティーだったんだ〜と思い出して、チョット、ショック。あの時の面影がないですから。
話がそれてしまいましたが、つまりワタシが言いたいのは「この映画は面白い!」
というワケで、皆さんも、その面白さの煙にまかれてみて下さいな♪
2007年01月10日
暗いところで待ち合わせ

昨年、作家生活10周年を迎えたそうです。
監督と脚本は天願大介。
故、今村昌平監督の長男です。
簡単なあらすじを。
主人公ミチル(田中麗奈)は交通事故により、だんだんと視力が弱まり、3年前ついに失明。
家の中の家事だけをこなしながら、父と二人きりで暮らしている。
だが最愛の父が急死。悲しみの中、大きな家で、たった一人で暮らし始める。
ある日、家のチャイムが聞こえ、玄関のドアを開けたその時、一人の青年が家に忍び込む。
彼は、ミチルの家の真下の駅で起きた殺人事件の重要参考人として警察に追われることになる大石アキヒロ(チェン・ボーリン)だった。
彼は、リビングの窓の傍で暮らし始めるのだが・・・・
結論から言っちゃうとヨカッタですね。
ワタシは好きな映画です。映画全体の空気感や透明感が好き。
天願監督の丁寧な演出も感じられます。
実は、この映画を見れるのを楽しみにしてたんです。
乙一さんの原作は読んでなかったのですが
「光を失くし、一人で大きな家に住む孤独な女性と、自分の居場所がなく、心に闇を抱える青年との不思議な共同生活」に惹かれたから。
ミチルは目は見えないけど、気配で人を感じます。
ある日、決定的に「人がいる」とわかった時から、二人分の食事を用意するようになり、言葉を交わす事もなく、二人で食事をするようになります。
そのシーンが好きで・・・う〜ん、説明むずかしいんですけど・・・
一緒に食事をするって、心が近づいた証だと思うんです。
だから、そのシーンが好き!
この映画は二人の心の距離感が細かに感じとれる。だから最後まで目が離せませんでした。
それは監督の丁寧な演出と、それに応えられる俳優の演技力があってこそですね。
映画ではミチルの孤独や悲しみも観客にわかるように描いてくれてるし、アキヒトの生い立ちや職場での差別も描かれてて、すんなりとストーリーの中に入っていけました。
脚本もムダな部分がなくて、よく出来てるなあと思います。
全盲を演じた田中麗奈さんの演技はホントすばらしかった!
彼女が出た映画は何本か見てますが、こんな静の演技は初めてではないかな〜
そして台湾の俳優チェン・ボーリンさん。彼は「シュガー&スパイス」でグランマの若き恋人を演じてました。
その時は彼に小顔ダイエットをすすめちゃったけど、この映画を見て撤回します!
ホレ直しました(笑)
セリフがなくて目線の演技がほとんどだったけどヨカッタですね。
彼のいい個性が生かされていたと思います。
「藍色夏恋」で初めて彼を見た時と同じ位、ドキドキでした。
一応、殺人事件が絡んでいるという事でサスペンス色もあるんですが
(犯人の登場シーンはドン引きしましたが・・・)
ほとんど二人のドラマと思っていただいてよいと思います。
他にも佐藤浩市さんや岸部一徳さんといったベテラン俳優さんが脇を固めてますので奥の深いものになってます。
二人共、孤独という部分で似た者同士。
だから言葉を交わさない不思議なコミュニケーションの中で癒されていったんだと思います。
そしてラストは孤独を友としていた二人が変わっていくんです。
そこが、また清々しい、ステキなラストでした。
二人は別々の道を行くのか、二人寄り添って暮らしてゆくのか、見る方それぞれで違うと思います。ワタシ的に、おススメしたい映画です。
2007年01月08日
幸福(しあわせ)のスイッチ

安田さんは家電メーカーでOLとして働いていたそうです。
助監督から監督になるパターン以外に、こんなスゴイ事ってあるんですね。オドロキです。
でも夢が広がってウレシイ!敷かれたレール以外にもジャンプ出来るんだっていう事で・・・
今、女性監督が輝いてますね。「ゆれる」「かもめ食堂」もそうでした。
安田さんは今回が本格的なデビュー作。
先輩二人もそうですが、女性監督は脚本も自分で書いちゃう!
安田さんは退職後3年かけて脚本を書き、映画化したそうです。
簡単なあらすじを。
主人公、怜(上野樹里)の家は田舎の小さな電気屋さん。
母は幼い頃他界し、頑固親父とは反りが合わず、東京でイラストレーターをやっている。
父親似の性格の怜は、上司と衝突して無職に。
そこに妹の香から妊婦の姉の瞳(本上まなみ)が倒れたという手紙を受け取り、帰省。
でも倒れていたのは骨折した父親の方だった。
無職になりお金のない怜は、謝礼をするという姉からの申し出により、家業を手伝う事に・・・
この映画は「ジュリーと樹里」の共演です。
うん?わからない方いるかも?ですね。
頑固親父役を沢田研二が演じてて、昔ジュリーと呼ばれていたんですヨ。
ストーリーは、この似た者同士である父親と二女が、お互いを認めるまでのお話が軸となってました。
そこに長女役の本上まなみのほんわか優しい母親のような愛と、三女、香の明るくてウソのないストレートさが加わります。
主人公、怜が地域の人たちの家を訪問修理をしていく中で、今まで内側からしか見てなかった父親を、違った目線で外側から見るようになるんです。
父の人柄や地域の人々から愛されている事を知り、父親を受け入れ、親子の絆を取り戻すまでの心情の変化をやさしく見守るように描いてました。
上野樹里が、いつも怒ってて、人に頭を下げないし、ありがとうも言わない、ホントかわいくない女の子を演じてるんだけど・・・ウマイです!
ワタシが今1番注目している女優さんです。
沢田さんはデカイ声を出す役は向いてないと思うんだけど、まあまあかな〜悪くはなかったですよ。ワタシ的にはまあまあ。
本上まなみさんは、当時ほんとに妊婦さんだったみたいで・・・
(先日、長女出産というニュースをヤフーで知りました)
本上さんは好きです。なかなか、あのほんわかムードは出せませんよ。
今は安い量販店が主流になってるけど、昔からある街の電気屋さんが舞台であるこの映画は人と人との絆の大切さを感じます。
細かい所の粗さはあっても、デビュー作品として見たら大合格じゃあないかな〜
なんか応援したくなる映画ですね。
安田監督の第2作目が楽しみです。
2006年12月29日
エラゴン 遺志を継ぐ者

彼の両親が自費出版したところ評判を呼んで大手出版社から発売され、たちまちベストセラーに。
まさに夢のようなお話。
この作品は「ドラゴンライダー3部作」の第1部。今、第2部まで出版されていて、現在は第3部を執筆中らしい。
まだ未完の小説にもかかわらず、3部作すべての映画化が決定されているそうです。
結論から言っちゃうと・・・楽しめましたヨ!面白かったです。
ワタシ的には合格点です。
見る前に知り合いから、あまりいい評価を聞いてなかったのですが、ワタシ的には「ナルニア物語」「ゲド戦記」より、はるか上をいってますね。
不満を言えば、前半のストーリー展開が粗っぽい。
第1部は物語の下地を作るから人物設定とかも丁寧にやるべきです。
ページをめくるようにパラパラと進みすぎですね。
特にエラゴンがドラゴンライダーに成長していく過程と心の苦悩の部分はもっと丁寧にやるべきです。
上映時間も2時間に満たなくて、あと20分位長く、前半にかけてもよかったと思います。
あと、撮影場所も同じような所が出て来て、少しガッカリでした。
(草原を馬でかけるシーンは同じような風景でした)
そして地理的な感覚もつかめない。
観客のワタシ達もエラゴンと旅を共有する為には、そこら辺の心配りも必要だったと思います。
何、文句ばっかり言ってんの?ヨカッタんじゃないの?
そう・・・ここからが本題なんです。
そんな不満も、見た後にはど〜でもよくなる位、魅力がある映画なんです。
それは「ドラゴン」今までのファンタジーには、こんなに魅力のあるドラゴンは出てこないと思います。
ドラゴンライダーと心で会話をし、一心同体となり、もしライダーが死ねばドラゴンも死んでしまうらしいのです。
エラゴンのドラゴンはメスで名前はサフィア。
彼女の気品のある美しさには溜め息が出ます。
時には母のように接し、エラゴンの心の支えになります。
ライダーとドラゴンの固い絆。それが、この作品の最も魅力のある部分だと思います。
サフィアは人間味があふれたキャラクターでホントいいんですヨ。
「スター・ウォーズ」とよく似た構図だし、「ロード・オブ・ザ・リング」に出てたエルフやドワーフも出てくるし・・・
今までのファンタジーやアドベンチャーの寄せ集めかもしれないけど・・・ワタシはそんな事ゼーンゼン気にしませんね。いいとこどりでステキな作品にしちゃうのも才能だと思ってます。
「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」は完成度の高い作品です。だから比べても見劣りするのは当たり前。
この作品だけを純粋に見たら、楽しめる作品に仕上がっていると思います。
主人公のエラゴン役は18万人の中から選ばれたエド・スペリーアス君。まだ17歳。彼はイギリスの貴族出身らしいです。
まだ平凡に見えるけど、エラゴンも、ある日突然ドラゴンライダーになってしまう役。だから普通の若者が成長していく過程を演じる上で最初からオーラのある役者は使わない方がいいと思います。
多分、次作では成長してイケメンオーラ全開になってるハズ。
ワタシには気品のあるイケメンの匂いがプンプンしますもん。
そして悪役もいいです。ラストあたりに魔力を持つシェイドと戦うんですが、そのシーンは見入ってしまいます。空中戦がスバラシイ。サフィアがまたまたイイ!(気を抜くと口が開いたままになるかもです・・・)
第2作目はサフィアとは全く違う獰猛なドラゴンが登場するみたいです。エラゴンの出生の秘密も明らかに・・・
作者が17歳の時に完成したストーリーで、その主人公エラゴンも17歳、俳優エドも17歳。
だからリアルな若者の情熱を感じられるファンタジーです。
そして主人公にダークな面がなくて純粋。
まあ芸がないと言う人もいるかもしれませんが・・・
ワタシは単純で素直なんで気に入ってます。
もちろん第2部も見ますヨ!
イケメンになったエドと美しいサフィアに会いに劇場へ行かなくては・・・
というワケでワタシ的にはおススメいたします。
2006年12月28日
シャーロットのおくりもの


原作者のホワイトは、もともと「ニューヨーカー」という有名な雑誌の記者で、生涯に3冊だけ子供向けの本を執筆したそうです。
何年か前に映画化された「スチュアート・リトル」もそう。これは大ヒットして2まで作られましたよね。
(ワタシもその可愛さにハマッてシャープペンやらいろいろ持ってます)
「シャーロットのおくりもの」は児童文学の世界に「生と死」をはじめて盛り込んだファンタジーらしいです。
ワタシは原作を知らずに見たのですが・・・ホントそのとおりでした。
命が生まれる瞬間、死を迎える瞬間、それぞれが描かれてます。
子供にとっていいお話だなあ〜と、しみじみ思いながら見ました。
子供向けの映画とは知ってましたが・・・ワタシはブタキャラが好きなんですヨ。
映画館のチラシで子ブタさんを見てからはラブモードでした。
ピンクでホントかわいいです!(1人で盛り上がっております)
正直、子ブタさんに会いたくて見たようなもんですが・・・こんなに大人が見ても考えさせられる部分があるとは思ってませんでした。
原作を知らないワタシは、ブタの名前が「シャーロット」と思ってたら・・・違ってて、それはクモの名前。
つまり「クモのシャーロットからのおくりもの」だったんです。
その贈り物って何?
ワタシは母のような愛情だったと思います。
「わたしが守ってあげる」と約束した事を、自分の命を削ってやってあげたシャーロット。
無償の愛って、やっぱスゴイですね。
11匹目に生まれた子ブタを育ててあげる牧場の娘ファーン役をダコタ・ファニングちゃんが演じてます。もうベテランの域に達してますね。安心して見られます。ファーンも子ブタを母のように育てるんです。
(ブタさんのお乳は10個しかなく、11匹目は殺される運命でした)
そしてクモのシャーロットの声を担当してるのが、ジュリア・ロバーツ。
これが、すごくよかったんですヨ!
実生活でも双子の母親になったジュリア。母親のように、子ブタのウィルバーに語りかける今回の役柄はピッタリでした。
ファンタジーの世界を最新のCG技術で再現してくれてて楽しめました。
お子ちゃま映画には違いないですけど、ダメ映画を見るよりは、得るものは大きいと思いますヨ。
ワタシ的には、大人向け、子供向けというジャンルにはこだわらず見てます。
お子ちゃま映画でも得られるものは何かしらあると思うんです。
(知らない事を勉強させてもらえるし・・・)
今回の「シャーロットのおくりもの」は、ストーリー展開は子供向けですけど、描かれる本質は素晴らしいと思います。
切り捨てられる命だって大切だし、生まれてくる事には意味があると教えてくれます。
シャーロットがクモの巣に綴った「Somepig」という言葉は「とくべつなブタ」という意味。映画を見るとナットクです!
映画を見てからは、キライだったクモを好きになりました。(チョット、オドロキ)
そして生を繋いでいってる全ての生き物に対しても、愛おしい気持ちになりました。
親子で見る場合は吹替になりますが、大人の方には、字幕をおススメします。
2006年12月28日
敬愛なるベートーヴェン

ぜひ、大きなスクリーンと音響の中で見てほしい作品です。
中盤あたりの12分にわたる第九の初演シーンは鳥肌が立ちました。ホントすばらしかったです。
物語はベートーヴェンがほとんど耳が聞こえなくなった晩年の頃のお話でした。
ベートーヴェンには生涯3人コピスト(楽譜を清書する職業)がいたそうですが、3人目は記録には残ってないそうです。
その3人目が女性という設定は時代的に考えるとありえないと思いますが・・・あえて女性という設定にしたのは、この映画が女性監督によるものだからでしょう。
あの有名な第九の初演を4日後に控えた時、コピストとして現われたアンナとベートーヴェンとの精神的な師弟愛が主軸でした。
ダイアン・クルーガー扮するアンナの目を通したベートーヴェンを描いていたので、主人公はダイアンだったと思います。
あの時代、男性の家で二人っきりで仕事をするなんて罪深き事、許されない事だったみたいです。
でもアンナは女性だけど音楽家を目指してましたし、心から敬愛しているベートーヴェンから得られるものは自分の糧になると信じ、凛としてました。
まあ女性の自立や、女性の芯の強さ、潔さを描いていると言われたら、それもナットクですね。
ベートーヴェン役はエド・ハリス。この方のファンは多いですね。
ワタシは、つい最近「トゥモローワールド」に出てたエドを見てるんで、同じ人には見えなくて驚いてます。演技上手いですね。
写真のごとく有名な肖像画のベートーヴェンにそっくりです。
実在の人物を演じる時にはイメージを似せるって大事ですよね。
映画の中では、屁理屈で変わり者で下品、でも音楽への情熱はスゴイ!そんな孤高の音楽家ベートーヴェンを見事に演じてました。やっぱ演技上手い!
面白いなあと思ったのはアンナにだけは弱さや迷いを見せたり、意見を求めたりしてた事です。やっぱ女性には母性を求めるんですね。そんな細かな感情の起伏の描写は女性監督ならではと思いました。
そして師弟愛でしたが、第九の演奏シーンではお互い陶酔して一つになったようなエロチズムも感じました。
この感覚もやっぱ女性ならではだろうなぁ〜
ダイアン・クルーガーは時代ものがいいですね。
「トロイ」で彼女を見て、美しい人だなあと好印象を持ったのですが、次の「ナショナル・トレジャー」でキンキンうるさくて嫌いになったんです。(ニコラス・ケイジとの現代物)
可愛いげもなかったし、今回の映画も「ダイアンかぁ〜どうしよう〜」と積極的に見た方ではなかったんですけどヨカッタですね。
特に彼女の目線の演技がいい!
時代物になるとダイアンは芯のある凛とした女性になっちゃう。抑えたセリフ位が、ちょうどよかったと思います。
それに彼女ってグラマラスですね。ついつい胸元に目がいってしまいました。(男性の方々、必見ですヨ)
でも次の映画が現代物でキャリアウーマンなんて演じたら、ワタシはパスしときます(笑)せっかくイメージアップしてる状態なんで・・・
ワタシ的には、満足した映画でした。
多分、映画をたくさん見られている方々には満足度は高いと思います。
今の季節にピッタリな第九をフルバージョンで聞くだけでも価値のある作品です。
2006年12月28日
犬神家の一族

ワタシにとっては初めての犬神家。
いつものごとく原作も昔の映画も知りません。比べるものがないという事は、
今回の映画に関してはプラス面が多いかも〜と思います。
その理由はですね〜昔風の映画そのままだったからです。
自分の知っている俳優さんたちが、タイムスリップして昔の映画に出てるような感じです。
リメイクではなくて、撮り直してるって感じでした。
テンポも昔風だし、007ボケしているワタシには頭のネジのボルトが1本飛び出しそうになりましたが・・・
映画が始まって「ウワァ〜昔だ〜」と驚き、その焦点に自分の頭を合わせるのに少し時間がかかりました。
セッティングが終わった後は、それなりに楽しめたと思います。
映画を見終わった感想はですねぇ〜
「血のつながりの呪縛からは逃れられなく、愛と憎しみは紙一重」
我ながらクラ〜イですねぇ〜自分でドン引きしそうです。
ミステリーですが、犬神家一族の欲と愛憎劇がワタシ的には主軸でした。
ただのミステリーだけでなく、人間ドラマでもあるから、名作なんでしょうね。
湖から出た2本の足のシーンは有名ですよね。このシーンの写真、見た記憶があります。
連続殺人が続きますが、そんなにグロくなくて大丈夫でした。
人形だとわかるし、赤い血も絵の具のようでした。
そして犬神三姉妹の皆様の演技は濃くて圧巻でした。
ワタシは犯人は誰?のミステリーより、三姉妹の凄まじさを見る方が面白かったですね。
富司さん、松坂さん、萬田さん、スバラシイです。
見る分は楽しいですけど、傍に居たら、ワタシ震え上がっちゃいそう。
とにかく最強三姉妹でしたね。松坂さんの変わりようにはチョット〜でしたが・・・・
そして話題の松嶋菜々子さんですけど、犬神家の中で唯一の清らかな存在である役柄を
演じてますが、影が薄いというか、ピンとくるものがなかったですね。
「彼女でないとダメ」という位の存在感はなかったです。
あと深キョンは、何を演じても深キョンだな〜と・・・
今回は、そのキャラを生かした役柄だったからヨカッタですが・・・・
「富豪刑事」って彼女にとってはハマリ役ですよね。
この映画とは関係ないか・・・
主役の石坂浩二さん、ワタシ的にはヨカッタですね。
安心して見れたし、嫌みもなかったし、好印象でした。
(最近、悪役が多かったけどイメージ一新です)
でも、頭のフケがパラパラと落ちるシーンが二回程あって
(それも机の上とかに白いものがパラパラと落ちてくる映像)
コレは必要なものだったんですかねぇ〜死体を見た時より背中がゾォ〜としました。
肩に落ちたフケを手をふり払うような映像に変えた方がいいですヨ。
女性には堪え難いフケのシーンです。
この映画はなんと30年ぶりにリメイクされた作品だそうで・・・
ここまでは、よくある話ですけど、大きな違いは、同じ監督、同じ主演俳優で
撮ったという事。
市川監督は、もう91歳。いやぁ〜オドロキですね。
同じ映画を30年ぶりに、撮り直すなんて、監督自身も面白かったと思います。
1976年版も見て比べてみたくなりました。
音楽は、思いっきりメロドラマ風。結構ハマリます。
ミステリーのドキドキ感は物足りなかったのですが、役者たちの演技を楽しむつもりで
見ればいいかな〜と思います。
2006年12月28日
硫黄島からの手紙

全編、色味のないセピア色。昔の映像を見ているような感じだった。
見終わった後、自分はやはり日本人だなと思った。
こんな映画を作ってくれたクリント・イーストウッド監督に感謝の気持ちでいっぱいになったから・・・・
全編、日本語、そして日本の俳優を使って、よくぞここまで作ってくれたなあと思う。
硫黄島の日本軍の戦いは、地下壕に立てこもるゲリラ戦だった。
陽の当たらない暗い蒸し風呂状態の中で、水も食料もないのに、36日間も耐えたのは、スゴイ忍耐力と精神力だと思う。
クリント監督は、そんな彼らに敬意を持って、この映画を作ってくれてた。
だから同じ日本人として嬉しかった。お礼を言いたい気持ちでいっぱいになった。
今までの戦争映画は、どちらかが悪で、どちらかが善として描かれていたし、娯楽作品として脚色されたりもしていた。
今回の「硫黄島からの手紙」は家族をただ思い、与えられた任務を全うしようとした人間としての日本人を描いてくれている。
だからいろんなキャラクターが出てくるのだが、それぞれの価値観まで伝わってくるような描き方だ。
ハリウッド映画だけど、何の違和感もなかった。
アイリス・ヤマシタ・・・この映画の脚本は彼女がほとんど書いている。日系アメリカ人二世で、本作が初の映画脚本となる。
日本人の血が流れている彼女だからこそ、ここまで描けたんじゃあないかと思う。
ワタシが1番驚いたのは、捕虜として投降した日本人兵士二人を、見張り役として居残ったアメリカ人兵士が射殺したシーンだ。
(このシーンはアメリカでは賛否両論を起こすかもしれない)
反対に、日本人兵士が、アメリカ人兵士を虐殺するシーンもある。
このように公平な視点において描かれており、同じ目線で、同じ人間として描いてくれてた。それが、ワタシがこの映画はスゴイと感じた所です。
戦争をやっている時代でも、いろんな人間がいたと思うんです。
でも戦時下では、みんな同じ方向を見る事しか許されなかった。今の日本は、そんな過去の上に築かれている事を忘れちゃあいけないと思いました。
クリント監督は、硫黄島という極限の戦いにおいて、彼らの何人かにスポットを当てて、「彼らが、どう死んでいったか」ではなく、「彼らが、どう生きたか」を描いてくれてました。
音楽も静かで優しく、素晴らしかったです。
ラストシーンのキレイな夕日が印象的でした。クリント監督の映画のラストシーンはいつも余韻が残ります。
今回は2部作になってますが、まず「父親からの星条旗」を見た後に「硫黄島からの手紙」を見られた方がよいと思います。
硫黄島の戦いが、どんなにひどいものだったかがわかるし、シーンがリンクしている所もあるからです。
映画史上、類を見ないこの2部作は後世にずっと残っていく素晴らしい映画の一つになると思います。
今、リアルタイムで映画館で見れる喜びを感じます。
(追記)
いろんな事を本当は書きたかったのですが、頭の中の整理がつけられなくて・・・鑑賞後4日後のレビューとなりました。
最初は思い付いた事を、紙に書きためて文章にまとめようとしたのですが、上手くいきませんでした。
書く事は山ほどあるのに文章にならない・・・自分て情けなく思います。
後日、ワタシの好きな加瀬亮さんの事や、他の俳優さんの事とかも書きたいと思います。
2006年12月28日
NANA2

前作はマンガの世界を実写で見れて感動したし、あの強烈なイメージは消えないです。
前作があまりにも完璧すぎますから、頑張っても越えられないですよね。
1番はハチが宮崎あおいでなくなった事。
その事はわかってたけど、こんなにダウンするとは思わなかったです。
市川由衣さんもカワイイけど、あおいちゃんのあの輝くような笑顔には負けます。
誰がやってもダメだと思ってたけど、やっぱ当たってました。
でも市川さんの声のナレーションはヨカッタです。
市川さんだから悪いんでなくて、誰がやってもあおいちゃんのハチにはかなわない。
「宮崎あおい」という女優は改めてスゴイ!って思っちゃいます。
そして、もう一人のナナを忘れちゃいけないですね。
中島美嘉さんよかったですヨ。前作より細かな演技をされてました。
ラストにナナ率いるブラストが新宿アルタ前でゲリラライブをやるシーンがあるんですが、
映画といえども本当にやってて迫力でした。
映画の中か?歌番組を見てるのか?わかんなくなっちゃった位です。
一方、ナナの恋人レンのバンド、トラストはスコットランドの古城で本当にPVロケです。
このPVは多分DVDの特典映像とかで全部見れるんだろうなあ〜
完成度、高かったです。カッコよかった。
ビジュアルばかり書いてしまいましたが・・・
映画として見たら、まあまあか、それよりチト劣るか・・・まあそんなところです。
でも、きれいに終わってくれてました。その後の事は想像するしかないですが、
ワタシ的にはこれで終わってほしいです。
今回みたいに中途半端に作ってほしくないんで・・・
ストーリーはハチ中心。だから市川由衣ちゃんの出番が多い。
でもハチが泣いてばかりで、ワタシついていけなかったですね。
「泣き虫で、どうしようもないけど・・・」みたいな魅力を感じなかった。
「泣くなよ!ハッキリしろよ!」とワタシだったらブチ切れて言っちゃうね!
もし、あおいちゃんがこの同じ脚本で演じたら、どんな風になるんだろうと
思わずにはいられなかった。見たかったなあ〜
なんか前作の事を思い出すと悔しくなる。
3年待ってもいいから前回のキャストでやってほしかった。
せめて、あおいちゃんだけはゆずれなかったなあ〜
なんかグチってばかりてスミマセン・・・
でもこの映画を一言で言ったら「くやしかった」なんです。
気をとり直してヨカッタ所を書きますね。
やっぱファションですよ!洋服が〜アクセが〜かわいかったですね。
あとは〜ですね。タクミ役の玉山鉄二さん。カツラをつけて出てくれてて感謝ですね。
「手紙」でスポーツ刈りでしたから。
タクミ役まで新メンバーになってたら、多分ガタガタだったと思うんで・・・
ワタシは今回、多分ダメだろうけどNANAの最後を見届けなくっちゃ!て思って見ました。
NANAファンだったら当たり前ですが・・・
前回見てなくて、今回が初めてのNANAでしたら、充分楽しめると思います。
帰りに映画グッズを見てたら、707号室のカギ付きキーホルダーを、つい買ってしまいました。
劇中で見たカギと同じものでレトロっぽいし、かわいいし、実用的だし・・・
なんだかんだ言っても、やっぱワタシはNANAワールドが好きなんです。
2006年12月28日
武士の一分

山田洋次監督の時代劇、原作、藤沢周平3部作がついに完成。
ラストを木村拓哉主演でやるなんて思い切ったなあと思います。
映画初主演、それも時代劇ですから・・・
今、時代劇が熱いですね。いい男だったら時代劇ですよ。
岡田君も「花よりもなほ」加瀬亮さんも出てたし・・・
時代劇のハードルはカツラですよね・・・似合うか?でしょう・・・
木村さんは美男子すぎでした。顔が良すぎて浮いてしまいます。
お毒見役がズラッと並んで食べてても、やっぱ木村さんだけカッコよすぎて
下級武士っぽくはなかったです。
始めは、うん?って感じだったのですが、毒に当たり失明してからの彼はガラッと雰囲気が変わって、
映画の中の空気に馴染んできました。
多分、盲目のハンディを背負った為に、彼のオーラが押さえられたせいだと思います。
目は開いているが見えないという難しい演技なんですが、暗闇の中で光る眼光、絶妙な視線、
感情を表現した眼差し・・・・木村君の目の力はスゴカッタですね。
主演は木村さんですが、妻役の檀れいさん、そして三村家に仕える下男役、笹野高史さん、
この3人で映画を支えていたと思います。
主人公が失明してしまうので、どうしても外のシーンは少なくなり、
三村家の中や庭先だけのシーンが多くなり、3人だけのやりとりが中心になります。
檀さん、笹野さん、お二人共スゴクヨカッタです!
正直、ワタシは山田洋次監督がキムタクで時代劇を作ってくれた事より、
この2人を起用してくれた事の方に感謝したかったです。
檀さんは宝塚の娘役のトップをやられていた方で、立ち振る舞いまでキレイで、
ずっと眺めていたい程。
ワタシ的に3人の比率を言ったら、木村さん3割、檀さん3割、笹野さん4割です。
主役より上?と言われるかもしれませんが、ワタシにとってはこの作品での笹野さんの存在感は
大きかったです。
ストーリーの大きな軸は、もちろん夫婦愛だったと思いますが、
笹野さん紛する下男の若い2人を見守る親のような大きな愛の中に、
夫婦がスッポリと包まれていたように感じます。
二人共、親は居ないので、唯一、身近で頼れる家族同様の存在だったと思います。
下男は主人に仕える身ですから、位は下になります。だからこそ、二人共、素の自分を出してました。
前作の「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と比べたら、1番インパクトが少なかったのですが、
いい映画だったと思います。
感覚で表現すると海のような力強さや大波もないのですが、
サラサラと穏やかに流れる小川のような感じでした。
見終った後はすがすがしい気分になります。
この映画の良さがわかるのは、日本人だからこそと思います。
「お互いを思いやって、つつましく、凛として、穏やかに暮らす」
今の若い世代には不可能な世界に感じますが、その心根はいつまでも持っていたいと思いました。
「武士の一分」とは「武士としての面目」という意味だそうです。日本語って、奥が深いですね。
今は「面目めんもく」というのもわからないかも。「メンツ」と言いかえたら大丈夫かな。
ワタシが1番好きなシーンは庭先にホタルがたくさん舞っているのに、
加世が盲目の新之を思いやって「まだ飛んでない」と答えるシーンでした。思いやりですね。
今回は三部作では1番若い主人公。そしていい男。
若い方から年配の方まで、まんべんなく見てもらえると思います。
と言う事はヒットまちがいなしですね。
ユーモアもあって和ませてくれますし、心がじんわり温かくなる映画でした。
余談ですが・・・三部作全てを鑑賞したワタシ的な意見を。
ワタシも木村さんのファンですが、あくまでも映画として見た場合、
最高傑作は「たそがれ清兵衛」だと思います。
そしてワタシの好きな主人公は「隠し剣鬼爪」の永瀬さんが演じた片桐宗蔵。
死にそうな百姓の娘きえを、人の目も気にせず背負って帰る姿にホレました(笑)
2006年12月28日
007カジノ・ロワイヤル

今回はシリーズ第21作目で、ボンドの原点に戻った映画だそうです。スマートで華やかなボンドではなく、タフな強さと心の迷いも合わせ持つ人間的なジェームズ・ポンドです。
ストーリーは、その後のボンドの人生を決定付けた「最初の任務」と「運命の女性ベスパー」とのラブストーリーが描かれてました。
今回は6代目としてダニエル・クレイブがボンドを演じてます。
ワタシは先代のピアース・ブロスナンしか知りません。だからショーン・コネリーのダンディさも知らないし、ほとんど白紙の状態で見たようなものです。
007のイメージ像も持ってなかったのでストーリーもすんなり入ってゆけました。
ダニエル・クレイブは1968年、イギリス、チェスター生まれ。
新しいボンド役がダニエルだと知った時は正直ちょっと驚きましたね。
「ミュンヘン」で見たあの人?二枚目というより、セクシーで野性的な感じだったのでピンとこなかったです。それに、あと5歳位若い人と思ってましたし・・・
でも今回タキシードを着こなしてる彼を見て、こんなにカッコよかったっけ?と驚きました。
ダニエル・クレイブはイケメンではないんですが、ブルーの目が綺麗で憂いを帯びてて、男の色気がありました。
女性受けするんじゃないかな・・・弱さや純情さもチラッと感じたりもするから・・・
ワタシ的には前回の端正なお顔立ちの美男子ピアースより魅力を感じます。ホメすぎ?ですかぁ〜
ここからはワタシ的な映画の感想です。
ヨカッタです!楽しかった〜!
ドキドキ、ハラハラしてスゴク面白かったです。
タイトル前はモノクロでクールなボンドが登場。
そしてメインタイトルは、トランプを使ったグラフィックデザインで・・・コレがセンスよくっていいんですヨ!
グラフィックデザイナー誰なんだろう〜?
アクションはド迫力です。見応えあります。
冒頭からターゲットを追いかけます。走るの速い!ジャンプすごい!
ワタシ、コウフン状態!!!!体温1度上昇!
脚本がポール・ハギス、監督がマーティン・キャンベルだったので、映画としての面白さを期待してましたが、その点においてもワタシは満足でした。
そして運命の女性ベスパーを演じたのがエバ・グリーンだった事もウレシイ!
「キングダム・オブ・ヘブン」でハリウッドデビューしてから彼女のファンでしたから。
ミステリアスで吸い込まれそうな目が魅力的、体も細くてキレイ〜やっぱ美女最高!
フランスの女優さんで母親は女優のマルレーヌ・ジョベールさんだそうです。
ベスパーは怖いもの知らずのボンドが007となる変化をもたらす重要な役でしたが、エバはスゴクよかったです。
リアルな悪役ル・シッフルはデンマークの俳優さんが演じてました。上手かったですね。
最後にボンドの上司Mは、ベテラン女優ジュディ・デンチです。
ワタシは次回作でも、ビシッと元気で演じてくれるか心配。近頃、老人役で彼女を見る事が多いせいでしょうか。
次回作では、現役は退いたけど影でボンドを助ける役なんてピッタリだわ!なんて妄想してます。
昔から007シリーズを愛している方々の中には、ダメ出しされる人もいるだろうな〜とお察しいたします。
でもワタシ的には、今回の映画は大満足してます。
カジノのシーンはゴージャスだったし、野性的で汗を吹き出しながら走るリアルなボンドに魅力を感じました。
そしてラストにお決まりのセリフを言ってくれて、例のテーマソングが初めて流れます。
単純に「やっぱいいわぁ〜キマッテる〜」と一人喜んでおりました。
「ボンド、ジェームス・ボンド」と言った瞬間から007の重みを背負ったダニエル・クレイグ。
彼の真価が問われるのは、次回作からでしょうね。
お正月はヒマなんで、もう1度見てコーフンしたいと思います。人生、刺激が大事。
と言うワケで・・・ワタシ的には、おススメいたします。