2006年12月28日

硫黄島からの手紙

冒頭、遺骨収集団が洞窟の中に埋められた大量の手紙を発見する所から始まる。
全編、色味のないセピア色。昔の映像を見ているような感じだった。

見終わった後、自分はやはり日本人だなと思った。
こんな映画を作ってくれたクリント・イーストウッド監督に感謝の気持ちでいっぱいになったから・・・・
全編、日本語、そして日本の俳優を使って、よくぞここまで作ってくれたなあと思う。
硫黄島の日本軍の戦いは、地下壕に立てこもるゲリラ戦だった。
陽の当たらない暗い蒸し風呂状態の中で、水も食料もないのに、36日間も耐えたのは、スゴイ忍耐力と精神力だと思う。
クリント監督は、そんな彼らに敬意を持って、この映画を作ってくれてた。
だから同じ日本人として嬉しかった。お礼を言いたい気持ちでいっぱいになった。

今までの戦争映画は、どちらかが悪で、どちらかが善として描かれていたし、娯楽作品として脚色されたりもしていた。
今回の「硫黄島からの手紙」は家族をただ思い、与えられた任務を全うしようとした人間としての日本人を描いてくれている。
だからいろんなキャラクターが出てくるのだが、それぞれの価値観まで伝わってくるような描き方だ。
ハリウッド映画だけど、何の違和感もなかった。

アイリス・ヤマシタ・・・この映画の脚本は彼女がほとんど書いている。日系アメリカ人二世で、本作が初の映画脚本となる。
日本人の血が流れている彼女だからこそ、ここまで描けたんじゃあないかと思う。
ワタシが1番驚いたのは、捕虜として投降した日本人兵士二人を、見張り役として居残ったアメリカ人兵士が射殺したシーンだ。
(このシーンはアメリカでは賛否両論を起こすかもしれない)
反対に、日本人兵士が、アメリカ人兵士を虐殺するシーンもある。
このように公平な視点において描かれており、同じ目線で、同じ人間として描いてくれてた。それが、ワタシがこの映画はスゴイと感じた所です。

戦争をやっている時代でも、いろんな人間がいたと思うんです。
でも戦時下では、みんな同じ方向を見る事しか許されなかった。今の日本は、そんな過去の上に築かれている事を忘れちゃあいけないと思いました。
クリント監督は、硫黄島という極限の戦いにおいて、彼らの何人かにスポットを当てて、「彼らが、どう死んでいったか」ではなく、「彼らが、どう生きたか」を描いてくれてました。
音楽も静かで優しく、素晴らしかったです。
ラストシーンのキレイな夕日が印象的でした。クリント監督の映画のラストシーンはいつも余韻が残ります。

今回は2部作になってますが、まず「父親からの星条旗」を見た後に「硫黄島からの手紙」を見られた方がよいと思います。
硫黄島の戦いが、どんなにひどいものだったかがわかるし、シーンがリンクしている所もあるからです。
映画史上、類を見ないこの2部作は後世にずっと残っていく素晴らしい映画の一つになると思います。
今、リアルタイムで映画館で見れる喜びを感じます。

(追記)
いろんな事を本当は書きたかったのですが、頭の中の整理がつけられなくて・・・鑑賞後4日後のレビューとなりました。
最初は思い付いた事を、紙に書きためて文章にまとめようとしたのですが、上手くいきませんでした。
書く事は山ほどあるのに文章にならない・・・自分て情けなく思います。
後日、ワタシの好きな加瀬亮さんの事や、他の俳優さんの事とかも書きたいと思います。


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この記事へのコメント
はじめまして
この映画必ず見に行きます(✪ฺД✪ฺ)
Posted by daiki at 2006年12月28日 22:17
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