2007年02月28日

ストロベリーショートケイクス


原作は魚喃キリコさんの同名コミックです。
それを恋愛小説家の狗飼恭子さんが脚本として仕上げ、矢崎仁司さんが監督した作品。

矢崎監督の代表作は「三月のライオン」という作品。
数多くの海外映画祭に招待されて、高い評価を受けられたそうです。
ワタシは16年前の作品なので、見てませんが、映画人の間では、よく知られているみたいです。

今回、パンフを買ったら、その中に映画についての矢崎監督のコメントが載ってて、とても感銘を受けました。


こんな考えを持ってくれてる監督さんだったら、一生ファンでいたい、と思ったほどです。
少しですが、みなさんにも読んでほしいので、抜粋して、ここに載せますね。

〈映画は理解するものではなく、感じるものだと思ってます。映画館は自分のことを考える時間。あわただしく流される日々。「立ち止まっていいんだよ」って包み込む暗闇が映画館です。僕は観てくれた人に何かを思い出して欲しい。何か心に仕舞い込んでた大切な感情、忘れてた感情の記憶にフーっと息を吹きかけるように、僕たちが映した空気が触れることが出来たらいいと思います〉

映画を観た後、このコメントを読んで、深くナットクしました。
ワタシも、仕舞い込んでた感情の引き出しを開けてもらってましたから・・・

この映画は都会で働いてる4人の女の子のお話。
ワタシは4人友達の話かと思ってたら・・・2人が幼なじみのルームメイトで、あとの2人は同じ職場の同僚。
チラシでは、4人一緒に写ってるけど、2ペアのご対面は映画の中ではありません。
でもラストで奇妙な接点を持つ事になります。あのまま映画が続いてたら、4人友達になってたかもしれませんが・・・

映画はヨカッタですね。
それを、おもしろかったと言えばいいのか?
ヒヤヒヤしたと言えばいいのか?
ドキッとしたと言えばいいのか?
正直に言うと、気持ち穏やかに見てられませんでした(笑)
胸が、ざわざわしたり、痛いと感じた場面もありました。
そしてリアルでした。一応、R15指定となっております。
20代、30代の女の子だったら、誰でもドキッとする場面の一つはあると思います。

一応、主人公は池脇千鶴演じる里子なんですけど、4人4様の気持ちや生活感も、しっかり描かれてるから、誰が主人公でもいい感じ。
観客が、4人の誰に感情移入して観るかで、印象が変わる映画だと思います。

4人それぞれのキャラクターの違いを感じさせたのは、住んでる部屋のインテリアが大きいけど、ワタシ的には「神様」でした。
映画の中で「神様っていると思う?」というセリフが何度か出てきます。
この「神様」は宗教的な存在ではなく、自分を守ってくれるもの、自分を幸せに導いてくれるものといった自分だけに都合のいいお助けマンの事。
実は、ワタシも自分だけの神様がいてくれてると思っているオバカな一人なので、スゴ〜ク気持ちがわかります(笑)

里子は道で拾った不思議な形をした石コロを、神様にして、家に飾り、お願いごとを始めます。
コレが自分に1番近いかも(笑)
今はやってないけど、切羽詰まったら、多分、小さなお座布団の上に乗せちゃったりするだろうな

結婚願望の強いOL、ちひろは、「彼氏が神様」と・・・
一人の男を想い続けながら、デリヘリ嬢として身体を売る秋代は「神様なんていない」と・・・
イラストレーターの塔子は「あなただけの神様を描いてくれ」と依頼されて、
自分の神様をさがしてる。

4人の感情を、細かにすくい取りながら、映画が流れ、それに自分の感情がシンクロしていく感じでした。
きっと4人の女の子たちが、いとおしくなると思います。

「スペシャルな人のスペシャルな存在になりたいです!」と、拾った石にお願いをする里子。
多くの女の子は、こんな風に、いつも思ったり、時々思ったり、心に仕舞い込んでたり・・・あがいていると思います。

男性の方々は、この映画を見て、女の子って、いろいろ大変なんだなぁ〜と思っていただけたら、うれしいです(笑)

青空が広がる海辺で終わる突然のラスト。
エンディング曲は、スゴクゴキゲン!
映画の余韻にピッタリでした。


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