2007年01月10日
暗いところで待ち合わせ

昨年、作家生活10周年を迎えたそうです。
監督と脚本は天願大介。
故、今村昌平監督の長男です。
簡単なあらすじを。
主人公ミチル(田中麗奈)は交通事故により、だんだんと視力が弱まり、3年前ついに失明。
家の中の家事だけをこなしながら、父と二人きりで暮らしている。
だが最愛の父が急死。悲しみの中、大きな家で、たった一人で暮らし始める。
ある日、家のチャイムが聞こえ、玄関のドアを開けたその時、一人の青年が家に忍び込む。
彼は、ミチルの家の真下の駅で起きた殺人事件の重要参考人として警察に追われることになる大石アキヒロ(チェン・ボーリン)だった。
彼は、リビングの窓の傍で暮らし始めるのだが・・・・
結論から言っちゃうとヨカッタですね。
ワタシは好きな映画です。映画全体の空気感や透明感が好き。
天願監督の丁寧な演出も感じられます。
実は、この映画を見れるのを楽しみにしてたんです。
乙一さんの原作は読んでなかったのですが
「光を失くし、一人で大きな家に住む孤独な女性と、自分の居場所がなく、心に闇を抱える青年との不思議な共同生活」に惹かれたから。
ミチルは目は見えないけど、気配で人を感じます。
ある日、決定的に「人がいる」とわかった時から、二人分の食事を用意するようになり、言葉を交わす事もなく、二人で食事をするようになります。
そのシーンが好きで・・・う〜ん、説明むずかしいんですけど・・・
一緒に食事をするって、心が近づいた証だと思うんです。
だから、そのシーンが好き!
この映画は二人の心の距離感が細かに感じとれる。だから最後まで目が離せませんでした。
それは監督の丁寧な演出と、それに応えられる俳優の演技力があってこそですね。
映画ではミチルの孤独や悲しみも観客にわかるように描いてくれてるし、アキヒトの生い立ちや職場での差別も描かれてて、すんなりとストーリーの中に入っていけました。
脚本もムダな部分がなくて、よく出来てるなあと思います。
全盲を演じた田中麗奈さんの演技はホントすばらしかった!
彼女が出た映画は何本か見てますが、こんな静の演技は初めてではないかな〜
そして台湾の俳優チェン・ボーリンさん。彼は「シュガー&スパイス」でグランマの若き恋人を演じてました。
その時は彼に小顔ダイエットをすすめちゃったけど、この映画を見て撤回します!
ホレ直しました(笑)
セリフがなくて目線の演技がほとんどだったけどヨカッタですね。
彼のいい個性が生かされていたと思います。
「藍色夏恋」で初めて彼を見た時と同じ位、ドキドキでした。
一応、殺人事件が絡んでいるという事でサスペンス色もあるんですが
(犯人の登場シーンはドン引きしましたが・・・)
ほとんど二人のドラマと思っていただいてよいと思います。
他にも佐藤浩市さんや岸部一徳さんといったベテラン俳優さんが脇を固めてますので奥の深いものになってます。
二人共、孤独という部分で似た者同士。
だから言葉を交わさない不思議なコミュニケーションの中で癒されていったんだと思います。
そしてラストは孤独を友としていた二人が変わっていくんです。
そこが、また清々しい、ステキなラストでした。
二人は別々の道を行くのか、二人寄り添って暮らしてゆくのか、見る方それぞれで違うと思います。ワタシ的に、おススメしたい映画です。
Posted by サラ at 00:07│Comments(0)
│2006年公開映画
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