2007年11月27日

オリヲン座からの招待状


浅田次郎さんの短編集「鉄道員」の最後に
所収されている作品の映画化です。

京都の小さな映画館「オリヲン座」が舞台。
時代の波に翻弄されながらも、亡き夫の遺志を受け継いで、映画館を守り続けた
トヨ(宮沢りえ)
そして、亡夫の弟子であった留吉(加瀬亮)がトヨを支え、2人で映画館を守り続けます。
2人は惹かれ合っていたのですが、その時代では、許されぬ恋の為、純愛を貫き通しました。
原作の方では、2人は結婚してますが、映画では、プラトニックな純愛の形に、こだわったようです。


名作の「ニュー・シネマ・パラダイス」に、そっくりなシーンも出てきます。
オリヲン座を遊び場としていた子供が、映写室の小窓から名画を覗いているシーンです。
映写機をまわす様子もソックリでしたね。
幼い二人は、大人になり結婚をしますが、いつしか別れ話が出てきた頃に、オリヲン座からの
招待状が届きます。
それが、タイトルにむすびつくのですが・・・
大人になった二人、年老いたトヨと留吉の二人、
最終興行の日を、それぞれの思いを抱いて、迎えるところで、終わりでした。

ストーリーは、このように手短かに説明出来るくらい、簡単です。
ありきたりと言えば、その通りだし、途中で寝てしまう人もいるかも・・・
悪く言えば、単調で、パッとしない映画でした。
若い方には、物足りないだろうと思います。

でも、年配の方々には、とても懐かしく、穏やかに見れるだろうし、
静かな感動を覚えると思います。
昔の映画が流れたりもするので、なおさらだろうし・・・
純愛をテーマにしているので、ドロドロした所もなく、いやらしさもなく、
ほんとにきれいな映画です。
そして、京都の街が舞台ですので、季節の移ろいも美しく、趣がありました。
映像も、クッキリ、ハッキリした感じではなくて、やわらかい感じで昭和っぽかったです。

こういう静かな優しい映画も、時には、いいものです。
浅田次郎さんの原作の映画化は最近多いですけど・・・
ざっと挙げるだけで「地下鉄に乗って」「椿山課長の七日間」「憑神」
この3本共、見てますが、今回のオリヲン座の雰囲気が1番好きです。
ワタシは、加瀬さんの大ファンだし、宮沢さんも好きだし、この二人が演じる若い頃のシーンが、
半分以上占めていたのが大きな理由になってると思いますが・・・

留吉が、蛍をトヨに見せようとして、持ち帰ったシーンが1番好きです。
美しいものを見たら、自分の好きな人にも、それを見せたいと思う・・・
言葉では言えなかったけど、留吉の想いは伝わってきました。

監督は、三枝健起さん。
NHKに入社して「新日本紀行」などのドキュメンタリーを手掛けていたそうです。
劇中、ホタルが飛ぶ美しいシーンがあるのですが、そんな風景も撮られたのかもしれません。

今はシネコンの普及でオリヲン座のような小さな映画館が消えていってます。
オリヲン座は映画の中の話なのに、何か寂しさを感じました。
ワタシは映画館が大好きですから・・・
静かで、優しい映画でした。年配の方々には、特にオススメしたいです。


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